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【西岡孝洋】「アナウンサー」という枠をどれだけ超えられるかというチャレンジ!

西岡孝洋
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【西岡孝洋】「アナウンサー」という枠をどれだけ超えられるかというチャレンジ!

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2025年3月に27年務めたフジテレビを退社し、6月にエイベックスとエージェント契約を結んだ西岡孝洋さん。フジテレビではアナウンサーとして、オリンピックやサッカー・ワールドカップの実況もこなしてきましたが、今は「お金」と「不動産」のスペシャリストとしての活動を中心に据えるべく、方向性を模索しているとのこと。そんな西岡さんに、いろいろと伺いました!

「『何でエイベックスなの?』とよく聞かれるんですが、非常に人間的なご縁なんです」

──西岡さんは昨年3月にフジテレビを退社されてフリーになったんですね。退社した理由やきっかけというのは?

西岡 フジテレビで目標にしていたことが、自分の中ではある程度達成できたかなと思ったんです。一番大きかったのは、サッカーのワールドカップで実況をやりたいということでした。「日本戦を実況したい」と言って1998年にフジテレビに入ったんですが、それがすごくいい形で叶ったんです。最後に私が実況をしたワールドカップの日本戦が、もともと私がアナウンサーになりたいと思ったきっかけのドーハで行われた試合だったので、非常に区切りがいいなと。ただ、そこから番組の都合上、2年ぐらいかかりましたが、自分の中では、局のアナウンサーとしてはやりきったかなというタイミングだったので、もうここしかないだろうと思って辞めた感じですね。

──そして昨年6月にはエイベックスとエージェント契約となりました。これはどういう経緯だったんですか?

西岡 知人の結婚式があり、私は主賓として呼ばれていて、相手側の主賓が白取輝知さんという、AMA(エイベックス・マネジメント・エージェンシー)の社長さんだったんです。主賓同士でご挨拶した際、白取さんが冗談っぽく「辞めたらウチに来てくださいよ」とおっしゃって。その時、実は心の中でもう辞めることを決めていたんですが、僕は完全に社交辞令だと思っていたんです。その後、私が退社するというプレスリリースをフジテレビが出した時に、白取さんから連絡が来て、「本当に辞めるんですね」と。そこから「ウチで一緒にやりませんか」みたいな話があって、完全にそのつながりでこうなったという感じです。

──では、偶然なんだけど、まるで図ったかのようなことになったと。

西岡 そうなんですよ(笑)。実はメチャクチャ偶然なんです。たぶん、エイベックスではキー局のアナウンサー出身というのは私が初めてなんです。ラジオ局出身の方はいらっしゃったと思うんですけど。だから私自身も皆さんに「何でエイベックスなの?」って言われますが、非常に人間的なご縁で繋がっている感じです。

──やはり局アナ時代と今とではいろんなことが違うと思うんですが、一番違うのはどういうところですか?

西岡 やっぱり局アナというのは、失点をしてはいけないというか、守るべきものがすごく多いんです。例えばニュース原稿を間違って読んではいけないとか。面白いことを言うということよりも、どちらかというと守る意識がすごく強い職業なんですね。でも退社してフリーになって、そこで同じように守っていたら仕事が来ないなという思いはあって。やっぱりある程度攻めるというか、自分の言葉で話したり、ちょっと踏み込んだりしていかないといけないんだなっていうのは感じていたんですね。SNSの発信なども含めて、今までの自分が持っていたアナウンサーの枠を超えないと先はないなという、そういう点が一番違うのかなということはすごく感じています。

──原稿を正しく読めるのは当たり前で、それプラスいろんなことが必要だと。

西岡 そうですね。局のアナウンサーは、「正しく読む」ということにものすごく力を注ぐんです。例えば、「ここの息を吸うところを間違えると違う言葉に聞こえるから、そこを大事にしよう」とかって、そっち側の意識にすごく気を取られるんですよ。それはそれですごく大変なんですけど、今はむしろそういうことは逆にあまり気にしてなくて。それよりも、自分だから言えることとか、自分だから発信できることの方が、フリーとしては大事なんだなと、今は思っています。

──ではその上で、エイベックスだからこそこういうことができる、あるいはできそうだと思っているのはどんなことですか?

西岡 先ほども言ったようにエイベックスも元キー局アナは初めてなので、皆さんの手探り感がすごい伝わってきていて、申し訳ないなと思ってまして(笑)。でも私個人としては、新しいプロジェクトを一緒にやらせてもらっているという感じがすごくしているんです。だから、エイベックスからも「こんなのはどうですか」という提案をしてくれますし、僕自身からも「僕は書く仕事をしたい」という話をしたら、たくさん持ってきてくださったんです。ある意味、エイベックスの中でもすごく難易度の高いプロジェクトだと思うんですが、そこを一緒に頑張ってくださっているなという感じは、ありますね。

──書く仕事というのは?

西岡 今、「東洋経済オンライン」で不動産の記事を書いているんですが、それはエイベックスが紹介してくれたものです。やっぱり雑誌系の媒体さんにはすごく強いので、そういうところをいろいろ紹介してもらったりしています。そういう媒体に出ると、世間的な認知度はすごく上がるので、ありがたいなと思っています。

──そういう仕事ができるのも、局アナとしてずっと経験されたことにプラスして、その時代にいろんな資格を取得したりという活動をしていたことが大きいですよね。今、資格はいくつお持ちなんですか?

西岡 正確には数えてないんですけど、10ぐらいだと思います。ほとんどが最後の有給休暇期間を含めてフジテレビ時代に取得したもので、退社後に取ったのはファイナンシャルプランナー1級の実技だけですね。実技試験っていうのがあって、それは辞めてからでした。

──それにしても、局アナをやりながら勉強の時間ってそんなに取れるものなんですか?

西岡 そこはもう本当に、気合いと根性ですよね。僕の場合は世間からスポーツアナウンサーとして認知されているので、ギャップとか意外性みたいなものを自分で作っていくしかなくて。その一つのきっかけが不動産であったり、資格なのかなと思ったんです。だから「これは大変だから勉強できないな」というぐらいだったら、退社しない方がいいなというぐらいの気迫はあったので、そこは気持ちと気合いと根性で何とか乗り切ったという感じです。

──気合いと根性には自信がある方なんですか?

西岡 全然ないです(笑)。ないんですけど、でも「これをやらないと生きていけないかもしれない」と思うと、人間ってやるものなんですよね。例えば司法試験みたいな、そこまで難しい試験をパスしたわけじゃないですけど、それでもやっぱりある程度時間はかかったので、そういうのはあるかもしれないです。

「スポーツ関連はやり切りました。今は『お金と不動産のスペシャリスト』としてやっていきたい」

──ちなみに、一番大変だった資格はどれでしたか?

西岡 難しさでいうと、行政書士の試験が一番でした。子供と妻には妻の実家に帰ってもらって、「ヤバい、落ちるかも」と思いつつ一人でブツブツつぶやきながら詰め込んでいる時には、「俺、何やってんだろう?」と思いましたね。それ以外は、もう合格圏内に入ってるという状態で受けに行っていたので。

──でもその甲斐があって、資格という部分は他の方にはない個性でもあり、強みになっていますよね。

西岡 でも視聴者の中には、売名とまでは言わないですけど、話題作りのためなんじゃないかと思う方もいらっしゃるので、そうじゃないんだっていうことは見せなくていけなくて。ちゃんと仕事に生きているんだというところは大事かなと思ってます。

──局アナ時代は、仕事に生きていたんですか?

西岡 いえ、その時代は全く生きてないです。今はすごく生きてますけどね。宅建士だからと不動産関連の仕事をもらったり、エイベックスが取ってきてくれたクイズ番組の仕事も、世界遺産検定1級を持っていたから出していただいているので。世界遺産検定1級は、そこで初めて「役に立ったな」と思いました(笑)。フジテレビ時代に取っていましたが、当時は全然話題にもならなかったので。

──不動産関連では、いわゆる「マンションわらしべ長者」として話題になりましたよね。そこは、自分としてはどう捉えていましたか?

西岡 エイベックスと昨年4月ぐらいに打ち合わせをした時に、先ほども言った通り、僕が世間的に認識されているのは「元スポーツアナウンサー」なんだという話をしたんです。スポーツの仕事を取りに行こうとしていない、元スポーツアナウンサーなんですよ。だったら、ここからテレビに出ようという時に、何かしらの階段を一段階上がらないと、テレビには出られないよねと。それは僕自身がテレビ局員だったからよく分かるんですが、僕自身がもし僕という存在を呼ぶとしたら、やっぱりスポーツ関係だけだと思うんです。そこで一歩踏み出すために、何かステップみたいなものが必要だよねと。そこはエイベックスの担当者さんとも共有して、何をやっていきましょうかという話をしたんですね。その時に僕がマンションの話をしたら、「それはすごく面白いですね」と言ってもらえて。そのことを売り込みの資料みたいなものに書いてくれたんですけど、でも結局それを配るのってテレビ局関係なので、相手方としては「それをもらっても……」って感じだったと思うんです。

──その時点ではまだアピールに至らなかったんですね。

西岡 そんな中、9月にビジネス映像メディアの「PIVOT」さんがそのテーマで僕に密着した動画を出してくれて。やっぱり動画だと、いろんな人が見るんですよね。マンション売買の話は、僕自身としては言わなくて済むんだったら別に言わなくてもよかった情報なんですが、自分自身がメディアに出るために、何かしらでもう一段階スパイスが必要だったから出した話だったんです。そしたら、それが他の要素と掛け算になったんですね。「元局アナで、不動産をたくさん買っていて、資格をたくさん持ってる」という掛け算ができたんです。そこがうまく世間に伝わったというのは大きかったと思います。

──タイミングもよかったんでしょうね。

西岡 そう思います。もともとこういう戦略を描いてたのかと言われると、ここまでではなかったんですが、こうせざるを得なかったんだろうなという気はしてますね。

──ではご自身としては、そういった話題がスポーツのイメージを消すぐらいでよかったということなんですか?

西岡 そうですね。もう僕としては、スポーツのことは基本的にやり切ったと思っているので。もちろんそういうお仕事が来たらありがたく引き受けますが、基本的には「お金と不動産のことを発信できるアナウンサー」としてやっていきたいと思っているので、そういう意味ではもうそっち側で全然大丈夫という感じです。たぶん、今では世間の認知もどちらかというと不動産側に偏ってるんじゃないかなという気もしますし。

──不動産の売買を通じて感じたのは、どういうことでしたか?

西岡 好きだということが、どれだけ強みになるかということですよね。結局、僕はマンションが好きで、物件を見たりモデルルームに行くことが好きで、それを普通にやってたらこうなったわけで。他でも、お金にしようと思わずにやっていたことが話題になる方って、たくさんいるじゃないですか。それが私の場合は不動産だったんですよ。マネタイズしようと思って始めたり、これが話題になったらいいなと思ったことは全くないんですが、結局、自分の好きなことって伝わるんですよね。好きなことをしゃべってると、より伝わるというか。強みって作るものじゃなくて、持っているものの中から見つけてくるものなんだよな、というのは改めて思いましたね。

──確かにそうですね。ただ、不動産とかマンションを買うことって、趣味としては珍しいですよね。

西岡 趣味というか……僕は常に、人生を動かしたくなっちゃうんです。でも会社員時代はアナウンサーだったので異動もないし、仕事の内容に多少の変更はあっても、波風が立たない人生だったんですよ。そこに何か波風を立てたくなっちゃって。それが家を買ったり、環境を変えるということだったんです。でも今、会社も辞めてすっごい波風だらけだから、今は波風の立たない人生を望んでいて、「落ち着いた仕事を持ってきてもらえないかな」とかって思ってるんですけど(笑)。

──波風が立ちすぎちゃったと(笑)。

西岡 だから結局、アナウンサーをやってたからこそ、こうなったのかなという気もします。例えば、もし転勤が多い仕事だったり、もっと異動、異動で激動だったら、ひょっとしたら不動産売買はやってなかったかもしれないです。ある意味、人生が安定しているからこそ、そこでリスクを取ったり、面白いことをしてみたいという感じになったんだと思います。

「エイベックスでの仕事で、一番お会いしたいのは“あの人”です!」

──では今、特にスポーツアナウンサーの仕事は積極的に開拓しようとしていないのは、そこはやり切ったという気持ちと、今はもっと新しいことをやれそうだという気持ちが強いということなんですね。

西岡 そうですね。今はどちらかというと、新しいことを学びながらアウトプットしていて、どんどん自分の体の中が入れ替わってるような感じです。新しい仕事がどんどんできていて、それが面白い。ただ、スポーツは好きなので、いただくお仕事は全然引き受けてはいます。月に1本か2本程度の実況とかだったら、少し時間を使えばできるので。

──なるほど。

西岡 元同僚とかでも、スポーツひと筋、得意種目ひと筋という人もいますが、僕はそこまではなれないというか。やっぱりスポーツアナウンサーだけで生きていくっていう人は、仕事と趣味がほぼ一体化した人の方がいいんですよね。僕の場合は仕事は仕事、趣味は趣味と切り分けていたいタイプなので、趣味の部分を仕事にしちゃうと、趣味がなくなった感じがしちゃうんです。

──そこは人によって分かれるでしょうね。

西岡 スポーツ実況をやっていた時も、僕の評価が高かった種目って全部、もともと自分が興味を持っていなかった種目なんですよ。フィギュアスケートとかF1とか体操とか、プライベートでは全く見てなかった種目の方が割り切ってできる。あくまで僕の場合は、ですけどね。「これは仕事だから、ここまでやらなきゃいけない」と考えますし。でも、子供の頃から好きだった野球とかサッカーとかはファン目線になっちゃって、弱くなっちゃうんですよね。

──特に実況という立場では、そこは難しいところですよね。

西岡 そうですね。本当にそこの塩梅は難しいと思います。

──ただ、今は趣味的なポジションでもあった不動産に関することが、かなり仕事になってきていますよね。そこは大丈夫なんですか?

西岡 不動産に関しては、どちらにせよ仕事なので、仕事になったから嫌いになるというものではありません。情報収集はもともとやっていたことですし。今までは仕事じゃなく、Xとかでも不動産系の人ばかりフォローしていて、そういう情報ばかりが流れてくるので、見ていて飽きないですし。そういう意味では、趣味だったからよかったのかもしれないです。

──ところで昨年7月には、エイベックスの社員総会の司会も務めたそうですね。局アナ時代にはなかなか考えられなかった仕事だと思いますが。

西岡 不思議な経験だったんですが、髙石あかりさんと上坂樹里さんという朝ドラのヒロイン2人が来て、普通にうれしかったです(笑)。

──エイベックスを楽しんでますね(笑)。

西岡 そうなんですけど、まだめるるにお会いできてないんですよね。僕はもともと、全部のタレントさんの中でめるるが一番すごいなと思ってて。もともとなんですよ。エイベックスだからっていうことじゃなくて。で、白取社長に言われてホームページを見たら、「めるるってエイベックスなんだ!」って初めて知ったんです。だから言っておくと、どこかで機会があるかなと思って(笑)。

──早く叶うといいですね(笑)。

西岡 いやホントに。でも彼女は、あれで演技もうまいなんて、ちょっとズルいですよね。演技でも日本アカデミー賞の新人賞を獲ったってすごいなと思っちゃいました。

──でもそれでいうと、西岡さんも同じじゃないですか。アナウンサーで資格をたくさん持っていて、不動産にも詳しくて……みたいな。

西岡 いや、僕は知名度が全然ないですから!アナウンサー時代に知名度を作るような仕事をもっとやってれば違ったと思うんですけどね。そういうチャンスももちろんなくはなかったので。ただ、自分はその時にオリンピックの実況をする、サッカーワールドカップの実況をするということを大事にしていたので、知名度を上げるような仕事に対してあまり積極的ではなくて、そういう作業をしてこなかったんですね。「それはいらない」みたいな。すさまじい職人タイプのアナウンサーでした。

──それはそれですごいですけどね。

西岡 だから会社を辞めるという時に、そっちは全然頑張らなかったから知名度がないなと思っちゃって、これはもう一からやるしかないのかと。局アナ時代にやらなかったこと、SNSとかはやらなきゃいけないんだなっていうのは、その時にないがしろにしたツケが今来てるんだと思いましたね。エイベックスの皆さんには申し訳ないなと思って。

──でもすごく勝手なイメージですけど、フジテレビではそういう職人タイプの方って、どちらかというと少なそうな……。

西岡 そうですね。たぶん、後輩とかに「職人タイプのアナウンサーは誰ですか」って、例えば3人に聞いたら僕の名前が出てこないことはないと思いますね。その点では絶対トップ3ぐらいに入ってたと思いますし、そういう感じの作り上げ方がちょっと向いてたというか。そして、それが会社の中で珍しいっていうのも分かってはいて、それはそれで、自分の中ではちょっと楽しかったですけどね。

──でも今はフリーだから、今までやらなかったそういう部分にも乗り出していかないといけないと。

西岡 そうなんですよ。もうすぐ50歳、今までやらなかったことをやってるっていうのは大変だなと思うのと同時に、楽しいなって思います。そして、一人じゃやっぱりできないので。

──ですよね。

西岡 最初は、事務所に入らずに自分でやろうと思っていたんです。いくつかの事務所さんからはお声がけしてもらいましたが、基本はアナウンサーであることがベースのお声がけだったので、それだとそんなに変わらないかなと思って。「スポーツ実況の仕事を取ってくるよ」という感じで。そんな中、エイベックスだけが「よく分かんないけどやりませんか?」みたいな感じだったので、よく分かんないけど楽しいなと思っちゃって。新しいことをやりたいなと思ったんです。今までやったことを積み上げていくんだったら、別にフジテレビを辞める必要はなくて新しいことをやるために辞めたわけですからね。波風が立っている海ですが、やりたいことをやってるなと思ってます。

「『アナウンサー』という枠をどれだけ超えられるか。その開拓が、今一番のテーマですね」

──それと同時に、フジテレビ時代に株式会社エスプロムを立ち上げられていたんですよね? その会社はどういう位置付けなんですか?

西岡 もともと妻(西岡麻央さん)が料理研究家で、本もけっこう出してるんですけど、ずっと個人事業主でやってたんですよ。インボイスの関係で、それを法人化するという話になったので、だったら一緒にやろうと。それで法人にして、僕が社長になって事務的なサポートをすることにしたんです。フジテレビは副業OKなので、一応会社に申請をして認められて。で、約款には不動産のこととか他のこともいろいろ書いたんですけど、もちろん社員なのでそこは全然やらずに、法人だけは持ってたんですね。それで自分が辞めるにあたって、自分の芸能活動のサポートとか、これから起業してやっていく一切合切を、全部その会社でやってしまおうということにした感じです。

──なるほど。

西岡 その会社を作ったのが2023年7月で、辞めると決めたのが24年4月辺りだから、作った時には「いつかは辞めよう」という気持ちが自分の中でもあったんだろうなとは思います。この10年ぐらい、辞めようという気持ちが出ては消え、出ては消えだったので、たぶん、その気持ちが出ている時に作ったんだろうなという感じはします。

──では、今は仕事のベースはそこに置いているんですか?

西岡 はい。エイベックス本社から歩いて10分ぐらいのところに事務所を借りていて、事務所じゃないといけない仕事がなくても行くようにしています。そうしないと、家にいるときとスイッチの切り替えがすごく難しいなと。在宅ではなかなかできないので、何にもなくても事務所に行って、何かしらの作業をするようにしています。

──最初に伺った「局アナ時代との違い」というところにも通じるんですが、大きい会社を辞められた方は、もといた会社の看板の大きさを痛感することもあるかと思うんですが、そこはいかがですか?

西岡 ありますね。やっぱり思いますよ。例えば、以前すごくよくしてくれていたように思った人たちが、「フジテレビのアナウンサーだからよくしてくれてたんだな」と思うこともありますし。一方で、逆にフリーだからかわいがってくれるというか、「よくこんなところで戦ってるね」という感じで温かく見てくれる人もいるので、失った人もいるし、新しく得た人たちもいるというのは、辞めてみてすごく思うことですね。でもそれはどっこいどっこいというか、どっちもどっちだなと。

──よくも悪くも、ですよね。

西岡 はい。辞めたら一人の人間として見てほしい、とまでは言わないですが、今思うと、看板はやっぱり大きかったと思います。

──ただ、今やっていること、これからやりたいことを考えると、「アナウンサー」というイメージだけがついていてもらっても困るわけで。

西岡 そうなんですよね。だから難しくて。例えば、台本に「フリーアナウンサー」って書かれていることもあるんですが、それも違和感があって。面倒くさいから「フリーアナウンサーです」って言ってますが、でもタレントでもないし、非常に肩書きが難しい。だから自分では「タワマン愛好家」って肩書きを勝手に作ったりしています(笑)。

──それはいいですね(笑)。

西岡 まあ、フリーのアナウンサーになりたくて辞めたわけじゃなくて、アナウンサーという枠を超えたくて辞めたわけだし、今はその足がかりを作っているところです。PIVOTさんでも、元テレ朝の竹内由恵さんとか、元TBSの国山ハセン君とかがいて、みんなアナウンサーとしての仕事をされていますが、僕はどちらかというと「専門家」という立場で出たいなと思っていて、それも先方には伝えてあるんですよ。もちろんアナウンサーとしての仕事もできますけど、それだけで終わったらあんまり意味がない。どれだけそこを超えて戦えるかなというところで、今はようやく入り口に立ってるぐらいの段階なんじゃないかなと思います。

──でもその開拓は面白そうですね。外側から無責任に言いますが。

西岡 いやいや、もう大変です(笑)。叩かれることもあるし。局アナ時代、実況って視聴者の目がメッチャ厳しくてSNSの炎上とかよくありますが、僕はそこのコントロールがメチャクチャうまかったんですよ。好感度が高いわけじゃないけど、すさまじく叩かれないアナウンサーだという自負があって。後輩とかも「どうしたらできるんですか?」って聞きに来るぐらいで。でも、辞めたらすごく叩かれるようになったんです。たぶん、今まではある意味すごく「気にならない」存在だったから叩かれもしなかったんだと思うんですけど。

──それは本当に、よくも悪くも、ですね。

西岡 今は「マンションわらしべ長者」とかって出ちゃってるわけだから、叩く人も出てきますよね。でも一方で気になってる人も増えてるんだろうという風に、プラスに捉えないとやっていけない。だからやっぱり、全ての意味で「アナウンサー」という枠をどれだけ超えられるかというチャレンジだと思っていて。しかも年齢が年齢なので、そんなに何年もできるものじゃないというか。10年も夢は追えないと思うので、もうこの1、2年で結果出さないとなと思ってますね。

──では、何か目標みたいなものは?

西岡 エイベックスと契約した時に「目標シート」みたいなアンケートがあったんです。最初に「どうします?」と白取社長に聞かれて、向こうも分からないから「羽鳥慎一さんって書いておきますか?」と。その時は「おお、いいですね」なんて言って羽鳥さんって書いたんですけど、目指すものは羽鳥さんじゃない気がするんですよね(笑)。だから一番の目標としては、お金とか不動産のことだったらこの人だよねっていう、ソムリエ的な存在になることですかね。そのソムリエ的な存在っていうのは、アナウンサーの枠の中でできるかっていうと、たぶんできなくて。だから今はフックとして「アナウンサー」で出てますけど、そこから超えて、「そのテーマだったら西岡さんだよね」という感じで呼んでもらうとか、そういう番組を持つのが目標なのかなとは思います。だから羽鳥さんよりももうちょっと専門色が強い感じのところなのかなと、自分では思っています。アナウンサーとしての目標については、今、探ってる感じですけどね。

「一線を踏み越えるのは簡単。求められる信頼性を保ちながら、正しいことを発信していきたい」

──お金のこととか不動産関連のことって、刻々と状況が変わっていきますよね。今だと金利の問題とかもいろいろありますし。だからもうずーっと勉強していく必要がありますよね。

西岡 本当にそうだと思います。それはもうたぶん、いつまで経っても「もう大丈夫です」っていう時は来ないと思うんですよね。でもそれは、アナウンサー時代、スポーツに関しても同じだったなと思うので、「そういうもんだな」と思ってやってます。逆に最新の事情がキャッチアップできていれば「何のことを聞いてもすぐ答えてくれる」と信用されるので、そこは勉強し続けようと思っています。

──世界遺産とかもある中で、特化したいのはやっぱりお金と不動産なんですか?

西岡 いや、世界遺産で食べていけるんだったら世界遺産でもいいんですけどね(笑)。やっぱり一番興味があるのがお金と不動産だし、僕は「仕事というのは誰かのために役立つことだ」と定義しているんです。自分の能力をどれだけ人に役立てられるかで価値が決まってくると思うんですけど、そういう意味でいうと、僕はアナウンサーだったから、ある程度分かりやすく話をすることができる。その上に専門知識があれば、それと掛け合わせて分かりやすいように伝えることができるし、そこがたぶん、他の人にはできないことだし、職業としての自分を価値づけるんじゃないかなと思っていて。やりたいことというと、そういうところですね。

──しかし、お金と不動産というのは、おそらくこの先も人々が興味を失うことがない分野ですよね。

西岡 そうなんですよ。まさに人生に関わることなので。もちろん、日本人には何となく「お金のことをそんなに大っぴらに言ってはいけない」みたいな美徳のようなものはありますけど、でもやっぱり大事なことだし。僕はフジテレビ時代、アナウンス部の中でも職人肌な存在でしたけど、結局、後輩たちとのコミュニケーションというと、お金のこととか不動産のこととかで相談に来たのをアドバイスしてあげたりとか、「NISAって、どれをやればいいですかね?」みたいな話で盛り上がったりして、いいコミュニケーションツールだったんです。お金とか不動産とかっていう価値の考え方とか知識とかっていうのは絶対に必要なものだから、そういうものを僕が吸収して、みんなに伝えるというのはいいんじゃないかなと思っています。

──ちなみに今、その方面で一番個人的に熱いと感じているテーマは何ですか?

西岡 インフレじゃないですかね。今、みんな物価高って言ってるじゃないですか。あれは実は違っていて、円という法定通貨の価値が落ちてるんですよ。だから早く、法定通貨じゃないところに逃げないといけないんだと思うんです。そうじゃないと説明ができないんですね。株が高い、金が高い、不動産が高いって、全部高くなってきました。その中で完全に円の価値、あるいはドルの価値も下がってるんです。そのことに多くの日本人が気づいていない。その理由は、日本人はずっとインフレで戦後からずっと順調に上がってきたのが、バブルの時にドーンと下がって、ジュースが100円の時代が30年続いてたんです。そんな国って他になくて。だって昔は、たぶん100円で家が買えた時代だってあるわけじゃないですか。それと同じことが今起きている可能性があるのに、みんなそっちに目を向けずに「物価高だ!」「卵が高い!」って言ってるんですよ。でも卵は、ひょっとしたら10年後には10個3000円になってるかもしれない。それって物事の本質として、物価が高いということじゃないんだよなと。

──なるほど。

西岡 そんな中で僕たちは不動産が好きだから、「不動産は暴落します」って言われることが多いですが、法定通貨の価値が下がってる中で、「不動産だけ下落するの?」「「その根拠は何?」というところは、今すごく個人的に怒ってるところですね。それはちょっと違うだろうと思うし、「不動産だけ下がるっていうのはどういうことなんだよ!」っていう。

──確かに。

西岡 他に下がってるものがたくさんあればいいですよ。株も金も下がってますとかだったら。でもそこは全部上がってるということは、たぶん、もう不動産の価値も上がってないんですよ。たくさんお金がないと買えなくなってるというだけだと思うんです。……というようなことを、毎日考えてます(笑)。

──そして、そういうことをしゃべったり書いたりする仕事がどんどん入るといいなと。

西岡 はい。でもやっぱりベースはアナウンサーですし、求められるのは信頼性だと思うので、そこを損なわないようにというのは心がけてます。踏み越えちゃうのは簡単で、際どい論調の人たちってたくさんいますが、ちゃんと正しいことを自分の意見で伝えるというところが難しいと思うんですね。それができる人はそんなに多くないんじゃないかなとも思うので、そこにチャレンジしたいなと思ってます。信頼性も保ちながら、ちゃんと正しいと思うことを発信できる、みたいな。

──YouTubeによくある「大予言!」とかそういう煽りではなく、ということですね。

西岡 そういうのは簡単なんですよ。例えば僕が「来年には不動産価格が暴落します!」って言って、Xで煽りまくったら、仕事はすごく来ると思うんです。でもそういう仕事が欲しいわけじゃなくて、やっぱりちゃんとした仕事が欲しいというか。再生回数稼ぎとかじゃないところの仕事が欲しいので、ちゃんと自分の中のプライドとして、正しいこと、ちゃんと根拠のあることを発信していきたいなと思っています。

──よく分かりました。ありがとうございました!

撮影 長谷英史

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記事情報

高崎計三

ライター

高崎計三

1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。