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【MA55IVE THE RAMPAGE】全曲コラボレーションの2ndアルバム「EMPIRE CODE」をたっぷり解説。AK-69との制作秘話や、ソロ曲の制作過程を紐解く。

MA55IVE THE RAMPAGE
MA55IVE THE RAMPAGE

MA55IVE THE RAMPAGEが待望の2ndアルバム「EMPIRE CODE」を完成させた。今年、MA55IVE UNION Projectを立ち上げ、新機軸を打ち出した彼らは精力的にコラボを展開。その動きのひとつの結晶となる本作にはどのような願いが込められているのか。アルバムタイトルの意味やAK-69プロデュースによるタイトル曲の制作過程、さらに5者5様の魅力が詰まったソロ曲の裏話や、気になる今後のヴィジョンまで、アルバム「EMPIRE CODE」を紐解く鍵を5人にたっぷりと語ってもらった。

インタビュー・文/猪又 孝

――2ndアルバム完成おめでとうございます! 今回は全曲をコラボで作り上げましたが、制作はどうでしたか?

TAKAHIDE:制作期間がタイトでしたね。

YAMASHO:キュッとしたら2週間くらいの日数で全部やったんですよ。

――レコーディング期間が?

YAMASHO:トラック選びから作詞作業まで全部です。曲ができたら即行でリリック書いてRECみたいな。

L(LIKIYA):それで「ちょっと違ったな」と思ったら、その場で直して、また録ってっていう。けど、逆に集中して作れました。

――AK-69、DOBERMAN INFINITY、ELLY/CB、SKRYU、May J.、JAY’ED、WISE、さらに海外からSPRITEと豪華なゲスト陣が集まりました。大半は今年5月に開催したイベント「MA55IVE BASE presents UNLIMITED 01」に出演していて、伏線回収するような顔ぶれになりましたね。

TAKAHIDE:まさに。

YAMASHO:あの日は僕がP-CHOさんと作った「分かんだろ?」だけ先出ししてて。

L:イベントでは誰とどんな曲をやるか、詳細までは発表してなかったですからね。結果、たくさんのスペシャリストに参加して頂けました。

――MA55IVE UNION Projectという大きなコンセプトがある中で、アルバム制作はどのような手順で作っていったんですか? 

YAMASHO:そこから誰が誰とコラボするのか、どういう曲にしたいのかということを決めていきました。リード曲はAK-69さんにお願いすることを初めから決めていたんです。あと、PKCZ®さんの方から誘って頂いて「Times」を作ったので、僕らの方でも一緒にやりましょうということで「Changer」ができて、という流れですね。

――ソロ曲は各自がイニシアチブを取って制作していったんですか?

TAKAHIDE:そうです。

――ということは、メンバーの曲がどうなっているか知らなかったり?

L:そうなんですよ。コラボ相手まではわかっているけど、どんなことをやってくるかはわからない。

SHOHEI:めっちゃカブっていたらどうなってたんだろね(笑)。たとえばTAKAHIDEみたいな曲でカブることもあったかもしれないし。結果、きれいにバラけたけど。

――そこはメンバー同士、空気を読んで制作していった?

L:そうですね。たぶんこっち系でやるだろうから、俺はこっちにしよう、みたいな。けど、SHOHEIだけちょっと意外でしたね。

――メンバーがどんな曲を作ってくるか、楽しみだったんじゃないですか?

YAMASHO:それはありました。ラフができあがってくると、それを聴いて「オォー」とか。

――一方で、5人が自由に動けば動くほど、統一感やまとまりがなくなるかもしれない。そんな不安はありませんでしたか? 

L:むしろそうやって個性を出していくことを大事にしていたし、それぞれが個性を出してもバラつく心配はなかったですね。MA55IVE UNION Projectはそれぞれが繋がりを作りたいとか、コラボしてみたいという人を集めてくるっていうコンセプトなので。それぞれが誰とやるかはわかっていたし、それぞれのルーツ音楽が表現されるんだろうなと思っていたので不安はなかったです。

YAMASHO:あと、今回のアルバムを作る目的が各自のアイデアや、いろんな人のパワーやエナジーが集めて、いつかMA55IVEの帝国を完成させるっていう。“EMPIRE CODE”とは、その設計図のこと。しかも、まだ序章の途中くらいのイメージですからね。それぐらい大きなコンセプトのもとで動いているので、それぞれの色が多少違っても、それすらが大切なことなんですよね。

――集合知の概念ですね。各個人の知識や経験を共有・統合することで、さらに創造性を高めていくと。

YAMASHO:まさにそうです。コラボすること自体が各自のスキルアップやレベルアップできる時間になっているし、俺はこういう曲がやっぱり好きなんだなと再認識する場所にもなっていたので。グループでのコラボもそういう時間や場所になっているから、その共通意識がある時点で統率は取れていたと思います。

――MA55IVEはもともとコズミックな世界観のヴィジュアルを展開してきましたが、今回のアー写はどんなコンセプトで制作したんですか?

YAMASHO:1st CDシングル「INVADERZ」のときは、僕らが地球に降りてくるというコンセプトだったんですけど、今回は僕らの帝国を作ろうとしているので、MA55IVEが降りてきた元の場所。MA55IVEが普段活動している場所というイメージで作ったんです。

――自分たちの本来の姿とか、母星にいるときの姿というか。

YAMASHO:そういうイメージですね。みんなが着ているマントの背中にはMA55IVE UNION Projectのロゴが入っているんですけど、その図柄は少し汚れて擦り切れてるんです。というのも、このプロジェクトを成功させたらひとつの帝国ができあがるという伝説を信じて、僕らはEMPIRE CODEを探し続けているから。そのために地球に降りてきたり、いろんな人との関わり合いからパワーを得て、自分たちの帝国を作ろうとしている。そういうストーリーでビジュアルを作ったんです。

――全員の頭上にある輪っかは何を表しているんですか? ジャケット写真では建築物の上に大きな輪っかがありますが。

YAMASHO:ジャケットにある建築物は五角錐なんです。これが自分たちの帝国のシンボルになっていて、それぞれの輪っかが大きくなったら、五角錐の大きな輪になっていくみたいな意味も込めてるんです。

――みんなの輪が繋がるとでっかい輪になる。

YAMASHO:UNION=連合という意味だから。縁で円を作っていく。そういうコンセプトにもなってるんです。

――タイトル曲「EMPIRE CODE」はAK-69がプロデュースしています。このコラボはどんな流れから?

L:僕らの初冠番組(「MA55IVE BASE」)にAK-69さんに出演してもらったときに、コラボして何か作りたいですねというところから始まって。話し合いを重ねていく中で、まずは「Encore Ⅱ feat. MA55IVE THE RAMPAGE」を作って。じゃあ、今度は僕らの作品でAKさんとコラボしたいですと。アルバムの設計図を考えたときに、その時点でヒップホップ的な強い楽曲がなかったので、ガツンとした強い曲で表題曲を作りたいよねという話から、それをAKさんに作ってもらおうと。だから、最初からアルバムの表題曲をお願いしますというオファーだったんです。

――歌詞に出てくる“EMPIRE CODE”というワードもAK-69発信?

L:そうです。今の僕らをイメージしてリリックも書いてくださいと伝えていて。表題曲をお願いしているわけだから、そこからタイトルを決めることになるだろうと思いながら、どんなリリックができあがってくるか待っていたんです。

KENTA:“EMPIRE CODE”という言葉を聞いたときに、まさしく僕らがやりたいのはこういうことですと。ぴったりの言葉を頂いたので、そこに付随して、僕らはINVADERZからの流れだったりとか、別の惑星があるとか、そういう世界観を考えていったんです。

――楽曲を聴いたとき、どんな感想を持ちましたか?

SHOHEI:鳴り出した瞬間に警告を知らせるような感じがあって、“イントロ力”がすごいなと思いましたね。あとAKさんのシャウトも入っていて、うわ、やばって。自分たちの曲にAKさんの声が入ってる!ついに来たな!って感動しました。

KENTA:デモを聴いたときに、AKさん節をかなり感じたので、これを5人で歌ったらどうなるかなという楽しみやワクワクが強かったです。

TAKAHIDE:最近の曲って全体的に短くてアウトロもサッと終わるものが多いけど、この曲はアウトロが長くて最初はどういう見せ方になるんだろう?と思っていたんです。でも振付が付いたときに「あ、そういうことか」と。今のサブスク時代でもアウトロをこんなに長く作ってもフィットすると思ったし、むしろ長いことでビシッと締まる。これが完成形だなと思ったし、この曲をやれてめちゃめちゃ嬉しかったです。

――歌割りもAK-69のディレクションなんですか?

L:スタッフさんとAKさんで相談して決めてくださいました。ラップパートに関しては、全員、一通り同じところを歌ってセレクションした箇所もあります。このパートは誰がいいか、みたいな。

――制作中にAK-69に言われて印象的だった言葉は?

L:最初から「こんな感じでラップしてみて」っていう感じじゃなくて、肩の力を抜いて、そのままの自分でやってみてっていう感じだったんです。そしたら、みんなイケるねって。みんなちゃんとラップをやってきてるから全然問題ないねって。

TAKAHIDE:SHOHEIさんが担当したパートは、逆にAKさんに提案してましたよね? もともとAKさんが低いトーンで歌ってたものを「こういうふうにしていいですか?」って。

SHOHEI:デモだともう1つ下のオクターブになっていて。それだと僕の声の成分的に聞き苦しくなるから変えてもいいですかって提案させてもらったんです。やってみたら声的には良かったんだけど、ちょっとリズムにON過ぎたので、もうちょっとレイドバックしてやってみようとAKさんに言われて。力を抜く感じとブレスを力強く吐く感じを意識してラップしたらハマりました。

KENTA:僕は歌パートだったからか、4人とは別に(トラックを制作した)RIMAZIさんのディレクションでRECしたんです。「ここを歌えて良かったな」と思ったし、2テイクしか録ってないんですけど、満足のいくテイクが録れました。

ーー「EMPIRE CODE」のMVはどんなコンセプトで録ったんですか?

YAMASHO:メインビジュアルは宇宙感がありますけど、MVの方は、荒れ果てた場所でもう一度自分たちの帝国を作り上げていくというコンセプトがあるので、自然の荒々しさとか力強さとか、無骨な方向で作りました。あと、MVでは踊りたいと思っていたので、ダンスもしっかり見せる映像にしようと。

――振付は誰が?

L:MONAさんという女性ダンサーが作ってくれました。力強いし、ノリもあるので、いいバランスになったと思います。

――大きな円卓で5人が作戦会議をしているようなシーンも印象的でしたし、AK-69が登場するラストシーンもエピローグ的な余韻を生んでいますね。

YAMASHO:AKさんのプロデュースだから、動き出した僕らをAKさんが見守っているというか。裏ボス的な感じで登場してもらったんです(笑)。

――ここからはソロ曲について収録順に訊かせてください。まず「分かんだろ? feat. P-CHO, YAMASHO」はどのような思いから作り始めたんですか?

YAMASHO:僕はとにかくラップをしたいなと思って。歌詞の1番と2番に分かれて、ひとりずつヴァースを蹴って、フックだけ一緒という。P-CHOさんとサシのラップバトルをやりたいなと思って提案させて頂いたんです。

――リリックのテーマは?

YAMASHO:みんなに対してもっと声を上げていこうよ、自分の中にある声をもっと発信していこうよっていうことを伝えたかったんです。この曲を聴いたらわかってくれるだろ?っていう気持ちがあったんで、みんなが僕らのメッセージに賛同してくれる雰囲気を出したくて、イントロに民族儀式のようなコーラスを入れたり、カウベルを入れたりしました。

――テンポも考えられているトラックだなと思いました。YAMASHOくんは早口ラップを得意とするからこそ、倍テンでも取れるようなどっしりしたビートになっている。

YAMASHO:そうなんです。リズムを倍でも取れるし、ONでも取れるようなビートがいいよねって。俺はいつも倍で取っちゃうクセがあるから、今回は逆にドスの利いた感じで重々しいテンションでゆっくり蹴ってみようと思って。トラックがこれだけ重いんだからちゃんと貫禄を出そうと思ってヴァースを書いたんです。そしたら逆にP-CHOさんはスピーディーで滑らかなフロウで応戦してくれて、ばっちりハマりましたね。

――「Universe feat. SKRYU, TAKAHIDE」は、TAKAHIDEくんが自身でトラックも手掛けました。ビートはどんなイメージで作ったんですか?

TAKAHIDE:2ステップやジャージークラブが好きなので、それを掛け合わせようと。SKRYUさんが「MA55IVE BASE」に出てくださったときに、僕が書いた「ガーベラ」が好きだと仰ってくれたので、ちょっとハッピーなテイストも加えて作りました。

――リリックでテーマにしたことは?

TAKAHIDE:「Universe」というタイトルは、トラックを作ったときから思いついていて、その時点ですでに付けていたんです。Universeを別の惑星とか別の宇宙と捉えたときに、人それぞれ、住む場所や環境によって、いろんな悩みや苦しみがあるだろうけど、前向きに頑張ろうよっていう曲を書きたいなと思って。で、SKRYUさんにもそういう内容を別軸で考えてもらったんです。お互いに別々に書いて、レコーディングのときに初めてSKRYUさんのリリックを聴いたんですけど、結果マッチしていて、めちゃくちゃいい曲になったと思いました。

――「分かんだろ?」と同じく自己発憤ソングですが、アプローチが違いますよね。「分かんだろ?」の方は自分に自信があって強気な感じ。一方、「Universe」は自分の弱い部分も見せている。そのもどかしさをSKRYUが具体的に描写して補っていく話法になっていて共感度を引き上げているように思います。

TAKAHIDE:そうですね。僕は言いたいことの全部が歌詞にならなくてもいいと思っていたんです。あと、さっき話したように僕とSKRYUさんが違う世界線でいいと思っていた。そしたら別軸で進んでいる二人がフックで合体するという良い方向に作用して楽曲の完成度がアップしたように思います。

――続く「Feel the vibe feat. May J., JAY’ED, KENTA」は、エレガントでスムースなR&Bになりました。

KENTA:まずは歌モノをやろうと考えて。歌詞より先に曲の方を進めようと思って、知り合いのジェイ(Jaeyoung Yang)に頼んで作ってもらったんです。そのときに僕が伝えたのは、どこか平成感が漂っていて、でも令和でも新しいと思える曲を作って欲しいと。テンポはミドルで曲調はR&B。男女3人で歌うので歌詞の1番と2番で歌う男性が変わってハイ終わりではなく、ちゃんと3声が重なるところがあったり、ゴスペルのような要素も入れて欲しいと。リファレンスとしてはNe-Yoの「So Sick」とか、3声が重なるということで絢香さんとコブクロさんの「WINDING ROAD」とかを伝えました。あと、柔らかい雰囲気の曲にしたかったので、AIさんとEXILE ATSUSHIさんの「So Special」みたいな感じも欲しいと。

――作詞はどのように進めていったんですか?

KENTA:3人の合同作業で進めていきました。もともと僕が書きたかったのは、今の世の中で背中を押す歌というか。SNSが当たり前の今って、それこそ平成の頃と違って、自分をよく見せることに囚われ過ぎているように思うんです。たとえば旅行に行ってもSNSに上げる写真を撮ることが目的になっちゃっていたりとか。自分を癒やすことが目的じゃなくて、誰かに見られることに意識が向いている。そうじゃなくて、もっと自分自身や自分が感じたことを大切にして、って伝えたかったんです。もしも、そういうことで悩んでいる人がいたら、自分の心に正直でいて欲しい。そうすることで明るさを取り戻して一歩踏み出してもらいたいなって。ただ、いざ3人で顔を合わせて書き始めたら、大変な作業でした。最初はサビの制作から入ったんですけど、サビの途中くらいまで作るのに6〜7時間かかって。

――なかなか思うように進まなかった。

KENTA:僕の出したテーマが抽象的だったんですよね。たとえば、“失恋をテーマにしよう”だったらストーリーを描けるんですけど、背中を押すといっても漠然としていて、具体的な出来事があるわけじゃない。しかも、そういうテーマを共同で書くというのが難しくて。性別が違うし、年代も違う3人なので、たとえば比喩表現をしたくても出てくる言葉が全然違うんです。あと、3人ともフロウに対する歌詞のハマり具合を重視するから確認作業が多いんです。1%でもよくなる可能性があるなら、それを全部出していって、それから決めるという進め方だったんで。

――そのぶん鍛えられて、レベルアップに繋がったんじゃないですか?

KENTA:コライトによる曲作りを経験できたし、こんなやり方もあるんだ、こんな進め方もあるんだって成長できたコラボでしたね。ハモりに関しても普段とは全然違う音域を使ったり、ゴスペルのようなコーラスでは細かくタイミングとか息を合わせていかなきゃならない。頭ではわかっているんですけど、最初はなかなか合わなくて何回もやり直して。産みの苦しみを味わいましたけど、それも含めて楽しめました。

――「Time 2 Get Up feat. WISE, SHOHEI」は、どんな発想から作ったんですか?

SHOHEI:僕はちょっと懐かしみのある夏曲を作りたいなと思って。最初はHOME MADE家族とか、平成のJ-POPの感じを考えたんですけど、なかなか落とし込むのが難しくて。それで邦楽から洋楽に視点を変えて、トラックメイカーのAILIさんの家でリファレンスになる曲を探すところから始めたんです。平成ということで2000年代のヒップホップを聴いていくなかでNellyの「Ride Wit Me」のパーティー感は夏にも合いそうだねというところからヒントをもらってトラックを作っていただきました。

――リリックはそれぞれ書いて持ち寄ったんですか?

SHOHEI:ヴァースはそれぞれに書いて、サビはWISEさん主導で作りました。TERIYAKI BOYZ®が好きだったし、昔から活動しているWISEさんからいろいろ吸収して勉強したかったんです。なので、自分がリリックを書いたら「できました!どうですか?」っていう調子でLINEにバンバン送って。アドバイスをもらったりしながら、5回目くらいのやりとりでやっと自分のヴァースが完成したんです。

――ラップのフロウはいつもよりレイドバックしているし、声のトーンもリラックスしてますよね。

SHOHEI:いつもの僕のキンキンしたラップが合わないなと思って。そしたらWISEさんが「オクターブ下げて、もう少し大人っぽく落ち着いた感じで蹴ってみたら合うと思うんだよね」って。あと、この曲を作ってる時期はTHE RAMPAGEの活動もあって忙しい時期だったんですけど、WISEさんが「今、忙しいと思うけど、少し足を止めて、一息入れて深呼吸するみたいな感じを落とし込んでみるのはどう?」って言ってくださって。その感情を曲に落とし込むことができたし、WISEさんのアドバイスで曲がキュッと締まったんです。

――舞台は日本だけど、ウエストコーストのヒップホップ感もありますよね。アメ車のコンバーチブルに乗ってドライブしてるような感じ。

SHOHEI:男二人旅という感じですね。時間の流れとしては、昼から夜にかけて。だからブリッジの部分でヒグラシのジジジジという鳴き声や打ち上げ花火の音をSEで入れたんです。そこは僕のアイデア。情景が浮かびやすい方が楽曲の物語が見えてきてエモくなるのかなと思ったんです。

――こだわりのSEですね。

SHOHEI:あと、WISEさんと乾杯してる感じも曲に入れたくて。リアル感を増すために実際プリプロのときに二人で乾杯しに行ったんです。後日、AILIさんも交えて3人でも飲みに行って。曲からその雰囲気を感じ取ってもらえたら嬉しいです。

――「NASTY feat. ELLY/CB, L」では、リリース作品としては初めての兄弟コラボが実現しました。これはどんなふうに制作が始まったんですか?

L:どういう曲を作ろうかと二人で話しているときに候補が2つあって。1つはクラブミュージック的なパーティソング。もう1つはラップで聴かせる感じ。兄弟だからこそ歌える内容でお互いのプライドをかけてブツかる感じにしようかと。で、どっちで行く?となったときに、もともと僕らはクラブ出身でダンスをやっていたので、そういうルーツを表現できたらいいねということで、1つ目の方向になったんです。

――トラックにはサウスヒップホップっぽいノリがありますね。

L:僕らの父親がアメリカ南部のアラバマ州出身なんで、そういう部分でもルーツを表現したくてサウス寄りの音にしたんです。

――リリックはクラブで素敵な女性を誘い出す内容になっています。

L:舞台はクラブとか夜の街ですね。基本、軽いナンパソングです(笑)。もっとこっちに来なよ、僕らの世界を教えてあげるよ、ふたりきりの内緒だよっていう。

――そういうテーマを兄弟で歌うことに照れはなかったですか?

L:ないですね、もう(笑)。兄貴とは一緒にクラブで遊んでいたし、兄弟というより友達みたいなノリだから照れとかはないです。

――レコーディングはどうでしたか?

L:最初、僕は2ヴァース目を歌ってたんですけど、兄貴が「ライブの登場感を考えるとお前が最初に行った方がいい」ということで、1ヴァース目を僕で録り直すことになって。デモはオクターブ上のキーだったんですけど、俺の声1本で行きたいから低めの声でズバッと歌って欲しいと。ヴァースは兄貴に完成形のイメージがあったので、それに全乗っかりして進めました。あと、Bメロの歌調なところは、兄貴のBメロと似た感じがあったので、お互いの良さとか雰囲気を重視したいから自分らしく表現してくれって。兄貴がかなり細かいディレクションまでしてくれましたね。

――アルバムを携えた全国ツアー「MA55IVE THE RAMPAGE 2nd LIVE TOUR 2025 “M5V” 〜EMPIRE CODE〜」が9月18日Zepp Fukuoka公演を皮切りに始まりました。今回のライブの見どころを教えてください。

YAMASHO:今回はバンドを入れて生演奏スタイルでやります。ニューアルバムの曲はもちろんやりますし、僕らの定番の曲もRemixにしたりメドレーにしたりして、「EMPIRE CODE」の世界観とこれまでのMA55IVEの世界観をミックスして味わってもらえるように作っていきます。バンドだから音はヤバいと思いますよ。音楽的にめちゃくちゃ気持ちいいだろうし、曲調の振り幅があるからフェスに来ているような満足感が得られるようなライブにしたいと思ってます。

――ツアーのあとは、どんな活動を考えているんですか?

SHOHEI:デカいところでライブをやりたい気持ちがありますね。

――今回のアルバムは、そのビジョンに向けた第一歩であり、そこに向かうルートを解き明かすためのコードでもあると。

TAKAHIDE:そうなればいいなという気持ちで作っていますから。

KENTA:いろんな人の力を借りながらですけど、基本、僕らは自分たちの力でお客さんを呼ぶしかないと思っていて。ということは、自分たちが良いものを作ればライブに来るお客さんの数も増えるだろうし、中途半端なことをやっていたら結果もハンパになるだろうと。そう考えると、デカいステージに立つことを目標にしつつ、現状どれくらいなのか?とか、僕らは今どこまでやれるのか?とか、一回、指針として見ておきたい。そのためにまずは今回のツアーを成功させることが今一番の目標ですね。

――今後、MA55IVE UNION Projectは、どのように展開されるんでしょうか?

YAMASHO:今回はMA55IVE UNION Projectでアルバム制作まで突っ走ったので、今後は必要なときに発動させると思います。たとえば来年はこのプロジェクトで制作するのは1曲かもしれない。あるいは、少し形を変えるかもしれない。でも、確実に言えるのはプロジェクトが今回のアルバムとツアーで終わりではないということ。僕らが取り組んでいくいろいろなことのひとつとしてMA55IVE UNION Projectは今後も続いていくので、その時を楽しみにしていてください。